移転価格コンサルティング

1.はじめに

何故移転価格税制が存在するのか

「関連会社間での値決めは、本来は企業が自由に決められるはずだ。税務署が口をはさむのはおかしい」と言われる企業経営者は、税務上危険な存在かもしれませんが、実は移転価格の本質の一角を突いています。現に、「グループ企業は関連会社が一体となって独立企業よりも高い付加価値を生み出しているのであり、個々の関連者間取引価格に独立企業間取引と比較するのは妥当ではない」という考え方も存在するのです。それに対して、「価格操作が容易な関連会社間取引については独立企業間原則を適用し、他国への所得移転を防止すべき」という考え方に基づいているのが移転価格税制であり、これが今や世界的に普及し、グローバルなコンセンサスとなっています。これにより、多国籍企業は今や世界的に移転価格税制を遵守しなければならない状況となっているのです。

移転価格課税の怖さ

移転価格税制は、独立企業間原則という絶対的な正解のない概念に基づいているため、同税制を遵守するためには税法の解釈のみならず、経済分析を用いて取引当事者両国で最もリスクが少ない“落としどころ”の価格を設定しなければなりません。また企業側による租税回避目的などの所得移転の意図があったか否かは関係なく、取引結果が独立企業間原則から乖離していれば課税されます。そのため、移転価格税制への対応は他の税制に比べ多面的で複雑となります。また、同税制への遵守が結果的に十分でなかった場合に被る課税インパクトの大きさは他の税制の比ではありません。最近、大手企業が巨額の移転価格追徴課税を受けたとの新聞報道が頻発していますが、むしろ大企業における100億円の追徴課税よりも、中小企業における1億円の追徴課税の方が、影響という意味では大きい場合もあります。

日本でも、東京国税局で移転価格調査を行った調査官が地方税務署に配属されるなど、移転価格税制の執行範囲は年々拡大しています。海外に進出しているにも拘らず対策を真剣に行っていない企業は、自らが次の移転価格税務調査のターゲットであることを認識すべきです。

移転価格税制への対応方法

移転価格税制を遵守し、大きな更正課税を受けない為には、以下の対応が必要と考えられます:

  • 取引当事者両国に対しバランスのとれた関連者間取引価格の設定を行う。
  • 関連会社間の契約書や、グループ間価格設定方針などの社内資料を作成・整備しておく。
  • 自社がどの程度の潜在的な移転価格リスクを有しているか評価する。
  • 移転価格文書を作成し、来たるべき税務調査に備える。

弊社の移転価格コンサルティングの特徴

(1)高品質サービスをリーズナブルなコストで提供
弊社は、高品質の移転価格サービスを合理的なコストで提供できます。

(2)きめ細かな顧問サービスの提供
弊社では、移転価格文書作成やリスク評価などプロジェクトベースのサービスのみならず、関連者間契約書の作成や修正、取引価格の設定や変更等、社内の日常的移転価格業務に関する、あるいはセカンド・オピニオン目的のためのきめ細かく客観的な顧問サービスも提供しています。

(3)真のグローバル・ネットワーク
弊社は、オランダに本拠を置く移転価格ファームであるTransfer Pricing Associates (以下“TPA”)及び各国の有力な専門家との提携により、世界の主要地域をカバーするサービスを提供しています。

Transfer Pricing Associates (“TPA”) とは

TPAグループは自社及び提携パートナーによる世界60カ国以上のサービスネットワークを有するグローバルな独立系コンサルティング会社です。移転価格をはじめとする国際税務コンサルティングを主に提供しています。

 

 

2.主なサービス内容

(1)移転価格文書作成

グローバルな租税回避防止を目的とした経済協力開発機構(OECD)主導によるBEPS(Base Erosion and Profit Shifting)プロジェクトの勧告を受け、日本でも2016年度の移転価格税制改正により、3層文書化制度及び同時文書化制度が整備されました。

(日本における移転価格文書化規則の概要については、以下2つのリンクをご覧ください。)

勿論中国、インドネシアなど日系企業が進出する多くの国でも同様な改正が行われ、今や移転価格文書の作成は企業にとって重い負担となっています。

弊社は現地提携事務所との協働により、日本及び主要各国の移転価格文書化規定に完全に対応し、高品質とリーズナブルな作成コストを両立した移転価格文書作成サービスを提供しています。

(2)移転価格リスク評価

貴社全体(またはご希望の事業部門)における全ての主要な関連者間取引について検証の上、移転価格課税リスクを分析・評価します。且つ、今後それらのリスクを極小化するための対策案を提示させていただきます。

当サービスが特に有効な場合

  • 海外に関連会社はあるものの、移転価格分析を行ったことがなく、一体わが社にはどの程度リスクがあるのか、よくわからない場合
  • 今後グループ内移転価格ポリシーを明確化し、課税リスク対策を行うため、まずは現在のリスク水準について明らかにしておくべき場合
  • 無形資産取引に関する課税リスクが高まっている中、グループ企業全体における”重要な無形資産”の所在を明確にしておきたい場合

(3)移転価格顧問サービス

国外に関連会社を有する企業は、関連者との取引契約書の作成・更新、取引価格の設定方針の決定、及びそれに基づく個々の取引価格決定などの移転価格関連業務を日常的に行っています。それら業務に関連する社内資料は税務調査が入った際に必ず課税当局により検査され、そのような資料の作成状況または内容に問題がある等により海外所得移転の蓋然性が高いとみなされると、その後の税務調査に大きな悪影響を与えます。従って、これら社内の移転価格業務についても移転価格税制や独立企業間原則に従って行う事が肝要であり、そのため移転価格専門家によるレビュー及びサポートは効果的です。さらに、最近の移転価格課税に関する調査・執行が厳しさを増している現状では、移転価格問題に関してセカンド・オピニオンを得ることが有効な場合もあります。

弊社は、上記の各ニーズに対応した移転価格業務顧問サービスを、定額料金にて行っています。

(4)APAサポート

事前確認(Advance Pricing Arrangement、以下”APA”)とは、納税者が提出した特定の国外関連者間取引における移転価格算定方法について、課税当局が合理性を認めた場合、一定期間はその取引に関して移転価格課税を行わないという「確認」、すなわちお墨付きを課税当局から得るという制度です。特にBilateral(二国間) APAは、両国の課税当局により合意を得るため対象取引に関する二重課税リスクを完全に排除できる究極のリスク回避手段といえます。

但し、APAは移転価格税制を有する全ての国で制度化されてはおらず、二国間APAは当該二国間で租税条約が締結されていなければ適用出来ません。また、準備をはじめてから課税当局の確認を得るまでに長い期間及び高額な費用を要します。さらに、申請すれば全ての取引についてAPAが取得できる保証はなく、課税当局の審査次第では不確認となるリスクもあります。以上を勘案すると、APAの申請は更正課税リスクがかなり高く、手間とコストをかけるだけの価値がある取引に限定し、且つ専門家のサポートを受けながら行うことをおすすめします。弊社では、グループ会社である税理士法人コスモス及び相手国の提携事務所との協働により、APAの申請準備開始から確認取得まで、リーズナブルな費用にてフルにサポートさせていただきます。